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外国への特許出願はPCT国際出願制度を利用 [特許申請・特許出願]

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外国に特許出願をするのに、特許協力条約(PCT)に基づく国際出願制度を利用する方法があります。
日本の特許庁に受理される国際出願の件数は年々増加しています。

特許出願したい国が、特許協力条約に加盟していればこの国際出願制度を利用することが可能です。
PCTの加盟国は少しずつ増え続けていて、今年に入ってからもブルネイ・ダルサラーム国,パナマ共和国の2カ国の加盟があり、146カ国と多くの国々がPCTに加盟しています。

しかし、例えばウルグアイ東方共和国はPCTに加盟を検討中ですが、今のところまだ加盟に至っていないので、特許出願を望む国にウルグアイが含まれている場合には、ウルグアイへの出願は別の方法を考える必要があります。
ウルグアイはパリ条約には1967年に加盟しているので、日本の特許出願に基づいてパリ条約による優先権主張をしてウルグアイに直接出願することが可能です。
この場合には、日本の出願日から1年以内にスペイン語に翻訳した出願書類を揃えてウルグアイの特許庁に提出する必要があります。

PCT国際出願制度を利用すると、権利化を希望する国の特許庁に、原則として、優先日から30ヶ月以内に翻訳文を提出すればよくなるので、翻訳を作成するのに時間的な余裕を作ることができます。国際出願制度についてはこちらの特許事務所で相談可能です。
ウルグアイでは特許出願全体の97%程度が非居住者による出願であり、PCTへの加盟が待たれます。


特許出願の審査請求料の引き下げ幅は妥当か [特許申請・特許出願]

特許法等の一部を改正する法律が平成23年6月8日に法律第63号として公布されました。
衆議院経済産業委員会では平成23年5月27日に質疑応答が行われる形でこの法律案の審査が進められ、可決されました。この後、平成23年5月31日に衆議院の本会議でこの法律案は可決され、成立しました。

衆議院経済産業委員会で行われた質疑応答の具体的な内容は衆議院のサイトの会議録に掲載されています。
衆議院-会議録
質疑応答では、この前書いた、特許出願の審査請求料の引下げの政令改正についても触れられています。
今回の政令の改正では、通常の特許出願だと168,600円+請求項数×4,000円であった出願審査請求料が118,000円+請求項数×4,000円まで引き下げられましたが、それじゃまだまだ引き下げ幅が十分じゃないんで、平成15年改正前の半分に戻しちゃおうぜという見解を2人の委員の方が述べられたようです。
この見解に対する答えは、残念ながら今回の引き下げ幅がとりあえず目いっぱいであるとのことでした。

平成15年改正の頃よりも、審査を行うのに必要な実費が審査の効率化によって安くなっているなどの理由で、今回の改正では審査請求料が引き下げられたわけですが、引下げ幅は、「特許特別会計の収支相償の原則を踏まえ、監査法人による実費計算の結果を参照しつつも、中長期的な特別会計の安定運営の観点から政策的に決定されるべきである。」とのことです。


出願審査請求料について平成15年改正以来の見直し [特許申請・特許出願]

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特許申請してから特許権維持までの流れのページに説明があるように、権利維持までにはいくつかの手続が必要となりますが、その流れの中で特許庁に支払う料金としては、基本的には特許出願をする際の出願料、実体審査を請求する際の出願審査請求料、特許権維持のための特許料があります。その中で高額なのが出願審査請求料です。

出願審査請求料は平成15年の法律改正で84,300円+2,700円×請求項数から168,600円+4,000×請求項数へとほぼ倍額に引き上げられました(施行日は16年4月1日)。
平成15年の改正前は審査請求料(84,300円+2,700円×請求項数)が審査を行うのに必要な実費の半分以下に設定されていて、その不足分を高めに設定された特許料により補足する料金体系になっていたので、特許料を多く支払う特許率が高い出願人と例えば先行技術調査をテキトーにやってとりあえず審査請求しちゃおうみたいない出願人とでは審査請求料の負担について不公平が生じちゃうじゃないかというのが審査請求料引き上げの理由の一つであったそうです。
そういったわけで、審査請求料をほぼ倍にする代わりに、特許料1~9年目分(1~3年目は8割減,4~6年目は6割減など)が下がりました。この改正では出願料についても出願を取り扱うのに要する実費を考慮して0.76倍に引き下げられています。
また、審査請求料がほぼ倍になった他の理由としては、審査請求料が適正な額ではない(安い)から、ほんとは権利化が必要じゃない特許申請まで審査請求されちゃってるんじゃないの、そのために審査請求する件数が増えて、審査にだいぶ時間がかかっちゃってるんじゃないのという点が挙げられています。

この平成15年の改正から審査請求料については見直しがありませんでしたが、平成23年8月1日から審査請求料が引き下げられることになったそうです。
出願審査請求料改正のお知らせ(特許庁)
出願審査請求料を含めた費用についてはこちらのページに説明があります


第4回五大特許庁長官会合が開催 [特許申請・特許出願]

2011年6月23、24日に東京において、日米欧中韓の5か国・地域の特許庁長官による第4回五大特許庁長官会合が開催されました。
第4回五大特許庁長官会合 東京開催(特許庁)
世界知的所有権機関(WIPO)のガリ事務局長もオブザーバーとし参加しました。日本の海江田経済産業大臣が冒頭にあいさつを行ったそうです。
なお、米国特許商標庁(USPTO)からはレア副長官が直接参加し、デビッド・カッポス長官は6月24日に電話で会合に参加したそうです。

この会合では初めて特許制度の国際的な調和が議題となり、特許制度の国際的な調和により海外で特許権を円滑に取得できるなどその重要性が五庁の間で共有されたとのことです。加えて特許制度の国際的な調和が進んでも、各国において特許出願されたものに特許権を認めるかどうかを決める自由は制限されないことも確認されたそうです。
また、五庁の間で、日本の特許庁の特許分類と欧州特許庁の特許分類を基にして、共通ハイブリッド分類の整備を加速していくことが合意され、共通の特許分類が完成すると中国語や韓国語の特許文献についても検索しやすくなり、世界の特許文献について漏れのない検索が実現しやすくなります。

次回の五大特許庁長官会合は2012年の6月に欧州特許庁(EPO)の主催で開催される予定であるとのことです。


米国での特許出願は先願主義へ移行? [特許申請・特許出願]

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米国では最先に発明した者に特許を与える先発明主義を採用してきましたが、2011年3月8日に先発明主義から最先に特許出願した者に特許を与える先願主義への移行に関する条項を含んだ上院の特許改革法案S.23が95対5で可決され上院本会議を通過しました。なお、日本ではこちらの特許出願ページに説明があるように、早く特許出願した者勝ち制度である先願主義を採用しています。
また6月23日には同様に先願主義への移行を含んだ下院の特許改革法案H.R.1249が304-117で可決され、下院本会議を通過したとのことです。
America Invents Act of 2011(House Judiciary Committee)

下院と上院の法案はかなり似てはいるのですが、相違点もあるために下院、上院で調整して再可決する必要があります。
一番の相違点は、米国特許商標庁(USPTO)が徴収した特許出願手数料などの料金をどのように管理するか、すべての徴収した料金をUSPTOで管理できるようにするか(上院案)、一部については議会の監視下におくか(下院案)というような点であるようです。
米国特許商標庁が徴収した料金のうち1992年から10億ドル近くが他の目的に流用されてしまっており、それを防止するためにUSPTOが徴収したすべての料金を管理できるようにすれば、審査官を増やして、特許出願の審査期間を短縮し、特許出願のバックログを減らすことができますよというのが上院の案のようですが…。

もし先願主義の導入を含む特許改革法案が成立すると、1952年以来約60年ぶりの大改正となるそうです。
上院の改革法案も下院の改革法案も本質的な違いはないので7月中か夏の終わりごろにはまとまるのではないかという意見がのったサイトもありました。

追記:こちらが参考になります。
特許改革法案(リーヒ・スミス米国発明法案)、下院本会議を通過-304対117。法案成立に向けた最終局面へ-(JETRO)(PDF)


特許申請の件数が多い五大特許庁の長官が東京で会合 [特許申請・特許出願]

特許申請の件数が多い国等の特許庁の特許庁長官などが集まる第4回五大特許庁長官会合が平成23年6月22日~6月24日まで東京で開催されるとのことです。
第4回五大特許庁長官会合 東京開催(特許庁)
世界における特許出願の審査効率の改善などを目的にしているようです。

五大特許庁とは、欧州特許庁European Patent Office(EPO), 日本国特許庁Japan Patent Office(JPO),韓国特許庁Korean Intellectual Property Office(KIPO),中国国家知識産権局State Intellectual Property Office of the People's Republic of China(SIPO),米国特許商標庁United States Patent and Trademark Office(USPTO),日米欧中韓5つの特許庁をいいます。
五大特許庁の特許出願の件数は世界の特許出願件数の大部分を占めるということです。
でも、五大特許庁の特許申請件数は2008年まで増加していたそうですが、2009年には少し減ってしまったそうです。中国の特許申請の件数は増え続けていますが、日本などの出願件数が減ってしまったためでしょうか。
そういえば、中国は2010年の特許出願件数が日本を抜いて世界第2位になったというニュースが知れ渡っていますね。中国語のみの特許文献が多くなると調査が大変になったりするので、特許分類の共通化なども五大特許庁では話し合われるようです。


特許権の存続期間の延長登録出願の審査基準が改訂 [特許申請・特許出願]

先日、「特許権の存続期間の延長って?」で、最高裁の判決で特許庁の上告が棄却されたことを書きました。
この最高裁判決を受けて、特許庁は、「特許権の存続期間の延長登録出願」の審査基準を改訂することを検討し、今年の秋頃に改訂した審査基準を公表する予定であることと、延長登録出願の審査には改訂審査基準が公表されるまで原則として着手しないことを知らせています。
特許権の存続期間の延長登録出願に関する審査基準及び審査の取扱いについて(特許庁)

例えば、先日の最高裁の判決文には、

「特許権の存続期間の延長登録出願の理由となった薬事法14条1項による製造販売の承認(以下「後行処分」という。)に先行して,後行処分の対象となった医薬品(以下「後行医薬品」という。)と有効成分並びに効能及び効果を同じくする医薬品(以下「先行医薬品」という。)について同項による製造販売の承認(以下「先行処分」という。)がされている場合であっても,先行医薬品が延長登録出願に係る特許権のいずれの請求項に係る特許発明の技術的範囲にも属しないときは,先行処分がされていることを根拠として,当該特許権の特許発明の実施に後行処分を受けることが必要であったとは認められないということはできないというべきである。」
とあるのに対して、
現在の特許庁の審査基準「特許権の存続期間の延長」(PDF)では、
「例えば、有効成分(物)及び効能・効果(用途)が同一であって製法、剤型等のみが異なる医薬品に対して承認が与えられている場合には、そのうちの最初の承認に基づいてのみ延長登録が認められる。」
との記載がありますので、このあたりは改訂される可能性があるのかもしれません。

ちなみに、特許権の存続期間の延長登録出願の件数などを調べてみたところ、2009年の通常の特許出願は330,060件であったそうですが、そのうち延長登録出願の件数は167件だそうです。
また、2009年の通常の特許権の登録件数は193,349件で、特許権の存続期間の延長登録の件数は72件だそうです。
今回の審査基準の改訂などによって、延長登録出願の件数や登録数はもう少し増えていくことになるのかもしれません。


特許権の存続期間の延長って? [特許申請・特許出願]

特許権の存続期間は特許出願の日から20年と特許法で定められていますが、この存続期間が延長されることがあるそうです。

特許権を取得できていても、医薬品の発明では薬事法で医薬品の承認、農薬の発明では農薬取締法で農薬の登録を受けないと特許発明を実施することができない場合があります。
例えば薬事法で医薬品の承認を受けるためには、臨床試験による実験データなどが要求されるのでデータの収集に長期間かかったり、また審査にも長期間かかってしまいます。

せっかく特許権が認められたのに、薬事法での承認などを受けるために特許発明が実施できない期間があったんじゃかわいそうじゃないかということで、医薬品、農薬の特許発明についてはその実施できなかった分だけ特許権の存続期間の延長を認めましょうという制度があります。

存続期間の延長を求める場合には、延長登録の出願をしなければいけません。普通の特許出願以外にも出願の種類ってあったんですね。特許権の存続期間の延長登録出願の場合にも、審査官による審査が行われて必要な要件を満たしていないと、拒絶理由が通知され、拒絶査定になるそうです。審査の内容は普通の特許出願とは異なるようですが、普通の特許出願の流れと同じですね。
拒絶査定に不服がある場合には、拒絶査定不服審判を請求することができて、拒絶審決に不服がある場合には、知的財産高等裁判所に拒絶審決取消訴訟を起こすことができます。これも普通の特許出願の流れと同じです。

この特許権の存続期間の延長登録は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)製剤では認められなくて議論になっているようです。ドラッグデリバリーシステムというのは、薬物伝達(輸送、送達)システムのことで、薬がよく効くように考えられた投与方法などのことだそう。
存続期間の延長登録は、有効成分や効能、効果が新しい医薬品には認められやすいようですが、有効成分や効能、効果は従来と同じで剤型のみが異なったDDS製剤には認めてもらえなかったそうです。
DDS製剤でも、薬事法での承認のためには、臨床試験のデータの収集が必要であって長期間かかるし、延長登録を認めてあげないとよくないんじゃないのという議論が持ち上がっているとのこと。

そういう流れの中で、あるDDS製剤に関する特許権の存続期間延長登録出願の拒絶審決取消訴訟の判決で拒絶審決が取り消されたそうです。特許庁の審判官が拒絶審決とした判断には誤りがあったよという判決です。特許庁は最高裁に上告受理の申立てをしたようですが上告には理由がないとして最近棄却されました。
平成21(行ヒ)326 審決取消請求事件 平成23年04月28日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 知的財産高等裁判所(裁判所ウェブサイト)

特許庁側は、既に有効成分(塩酸モルヒネ)、効能・効果(中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛)が同じ別の医薬品が、薬事法による製造販売の承認を受けてるんだから、延長登録を求めてる特許発明の実施の禁止はそれでもう解除されちゃってますよ、だから延長登録は認めませんみたいな考え方だったようです。
存続期間の延長が認められた場合の特許権の効力は物(有効成分)と用途(効能・効果)の観点だけから規定されてるんじゃないの?とか、薬事法で大事なのは「有効成分」と「効能・効果」であることが多いじゃんとか、法的安定性を欠いちゃまずいでしょみたいな理由に基づいた考え方のようです。

でも、最高裁では、先に薬事法による承認を受けた医薬品は、延長登録を求めてる特許発明の技術的範囲には属していない、特許発明の実施にはかかわってこないんだから、先に承認があったからっていっても延長登録出願を拒絶する理由にはならないでしょう、基本に戻って存続期間の延長登録制度を設けた目的を思い出してみてよみたいな判断をしたようです。
これから延長登録の対象が広がっていくことになるのかもしれません。


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