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特許申請中でも発明者名誉権による保護 [発明者]

発明者掲載権(発明者名誉権)は、判決の先例である判例で、発明者が発明を完成するのと同時に人格権として獲得するものであると判断されたことがあるそう。
発明者名誉権はこの前書いた直接適用されるパリ条約第4条の3で規定されているだけではなくって、日本の特許法でも発明者が発明者名誉権を発明を完成したのと同時にもっていることを前提として、「特許を受けようとする者は、発明者の氏名などを記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。」(第36条1項2号)、「出願公開は、発明者の氏名などを特許公報に掲載することにより行う。」(第64条2項3号)などのように具体化して規定されていると判例で判断されたことがあるそう。
まだ特許権が認められていない特許申請中の段階であっても、ほんとに特許が認められる要件を満たすかどうかは気にせずに(それを気にしちゃうと保護が不安定になっちゃうためだそう)、発明者名誉権による保護を認めるべきと判断されたことがあるそう。
特許出願中でまだ出願審査の請求がされていない段階でも発明者名誉権を侵害していると認定して、不法行為に基づく慰謝料の請求を認めた裁判もあるそう。この慰謝料の損害額を判断する際には特許される可能性も考慮されたよう。


発明者掲載権など [発明者]

発明者かどうかがあとあと問題にされるのは、発明者であることを主張して発明を提供した報酬としての利益を権利者に求める場合などが多いようです。
企業によっては実質的な協力者かどうかをあまり検討することなく発明者の上司であれば発明者として特許出願書類の特許願に記載しちゃう習慣があったりするそう。組織の中の力関係で発明者かどうかを決めてしまうとしたらさびしい。

発明者がもともとは特許を受ける権利をもっていることは知識がなくても当たり前のこととして理解できますが、特許法では第29条第1項に「産業上利用することができる発明をした者は、・・・その発明について特許を受けることができる。」と決められているそう。
この前知ったかぶりでパリ条約で発明者には発明者掲載権(発明者名誉権)が認められていると書きましたが、発明者掲載権について日本の特許法では直接規定されてはいないとのこと。パリ条約第4条の3に発明者の人格権の保護を目的として「発明者は、特許証に発明者として記載される権利を有する。」と定められていて、特許法第26条によってこのパリ条約第4条の3が日本に適用されるそう。
「特許法第26条によって」と書いても正確な意味はわかっていないのですが、特許法26条を調べると「条約の効力」についての規定で「特許に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。」とのことなので、特許に関してパリ条約に特別に発明者掲載権について規定されているときは、その発明者掲載権の規定が日本に直接適用されるという意味なのかもしれません。


共同した発明者かどうかの判断 [発明者]

共同した発明者であるかどうかは、発明の成立過程について「着想の提供」と「着想の具体化」の二段階に分けると判別しやすいとのことです。ここでいう「着想の具体化」のほうには、実験だけではなくて理論的な研究も含まれるそう。原則、発明の特徴的な部分について新しい着想を提供すれば発明者となり(たとえば発明の特徴的な部分については具体的な指示を出さずに製作を依頼しただけでは発明者とはならない。)、新しい着想を通常の専門家にとって自明ではない程度に具体化をすれば発明者となる(たとえば指示に基づいて装置の図面を作成しただけでは発明者とはならない。)そう。着想した人とその着想を具体化した人との間に協力関係があるかどうかも判断材料になるとのこと。

多数の研究者などの協力から発明が生まれて誰が発明者かを特定するのが難しい場合があるんで、法人自体に発明能力を認めてしまい法人発明もありとする考え方もあるそうです。でも実務的には認められていないとのこと。

一つの特許申請について特許を受けようとする発明を複数記載することもできる場合があるそうなのですが、この場合には発明によって発明者ではなかったりする可能性もありそうです。それでも問題ないそうで、すべての発明の発明者でなくても一部の発明の発明者であればよいそう。また特許願に発明ごとの発明者をわざわざ区別して記載するような必要もないとのこと。


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